自分再生への手術 入院編(1)その前夜

からのつづきです。



いよいよ入院の日を迎えたわ。

仕事で忙しい夫に代わって、

子供たちが病院まで付き添ってくれたわ。


病院に入ると、長女が言った。


あたし・主婦の頭の中


ほんと、そう言われてみれば、そうね。

天井も高く、通路も広くて、まるで空港みたいだわ。


あたし・主婦の頭の中


窓口に大きく番号がふられているのも、

空港のゲートに見えてくるわ。


入院窓口付近は、さらに空港度がアップした。

皆、入院セットのキャリーバックを手に歩いているから。


あたし・主婦の頭の中


思い出すわ~。

その昔、制服に身を包み、空港を闊歩していた自分を・・・。


あたし・主婦の頭の中


そんな思い出に浸っていたら、

私の受付番号が呼ばれたわ。


あたし・主婦の頭の中


一か所に集められた私たち入院患者+付添者は、

まるで同じツアーに参加するツーリストみたい。


あたし・主婦の頭の中


添乗員さん、あっ、違った!

係の人について、エレベーターに乗り、病棟へ。


そこで別の係の人が、私にこう言ったわ。


あたし・主婦の頭の中


なんですって? 個室にUG(アップグレード)?


あたし・主婦の頭の中


と、私がガッツポーズしたと思ったら、大間違いよ!



あたし・主婦の頭の中


喜ぶどころか、少し不安な表情を浮かべているじゃないの。


広い個室に案内されても・・・


あたし・主婦の頭の中


はしゃぐ子供たちとは対照的に、

私はため息さえついていた。


あたし・主婦の頭の中


それは、係の人が部屋を出るまで変わらなかった。


あたし・主婦の頭の中


ようやく、係の人が部屋を出て、

そこで初めてガッツポーズよ!



あたし・主婦の頭の中

そんな母の豹変ぶりに、子供たちは理解できない様子だった。


あたし・主婦の頭の中


いやね・・・

客室乗務員時代の経験がね、私をそうさせたのよ。


そうよ、ビジネスクラスを担当していた時よ。

まずお客様が搭乗する前に、必ず目を通すのが、

ビジネスクラスの乗客者リスト。


あたし・主婦の頭の中


意地悪な乗務員(あっ、私のこと?)は、

まずは、名前の横に記された『UG』と文字を探す。


そして、UGのお客さんが、

どういうパターンで搭乗してくるか・・・目を光らせていたわ。


UGのお客様には、いくつかのパターンがあるんだけど・・・。


UGの客① 素直に喜ぶパターン


あたし・主婦の頭の中


こんなお客さんは、微笑ましく、

いくら意地の悪い(だから、私?)でも、

分け隔てなくサービスしちゃう。(当たり前だろ!って?)


あたし・主婦の頭の中


UGの客② 最初からビジネス気取りの客パターン


UGの分際で、あたかも最初からビジネス面して、

当然のように、ビジネスのサービスを要求してくるタイプ。


あたし・主婦の頭の中


意地悪な乗務員(私だよ!)は、

その態度に、心の中で毒つきたくなる。


あたし・主婦の頭の中


UGの客③ プライドが邪魔をして素直に喜ばないパターン


ホントは、UGされて嬉しいのに、

わずかなプライドが邪魔をして、

素直に喜びを表せないタイプ。


あたし・主婦の頭の中

そうなの! 

私ったら、わずかなプライドが邪魔して

素直に喜ぶの恥ずかしかったのよ。

許して頂戴!


さて、子供たちも帰り、誰もいなくなったら、

そんなプライドどこかにいったわ。


すぐにパラマウントベッドに寝転び、

上げたり、下げたり・・・個室を満喫よ!


あぁ~個室最高ね~!


あたし・主婦の頭の中


ところが、根が小心者の私。


コツコツコツ・・・


病室に足音が近づいてくると、すぐに姿勢を正したわ。


あたし・主婦の頭の中


だって、散々、UGなのに何様だよ的お客さん

見てきたから!


あたし・主婦の頭の中


自分はそうあってはいけないって!


そして、また病院の人が出て行くと、

ソファにふん反り返り・・・


あたし・主婦の頭の中


コツコツコツ・・・


この足音で、またUGして頂いたことを忘れていない

謙虚な患者を演じる。


あたし・主婦の頭の中


その日は、入院初日、

まして、明日は手術ということで、


「病棟を案内します」だの

「麻酔科に今から行ってください」だの

「診察室に来て下さい」


入れ替わり立ち替わり、人が出入りして・・・。


その度に、超寛ぎモードから謙虚モードに切り替えなきゃで・・・


あたし・主婦の頭の中

大忙し!!


こんなことなら、

カーテンで仕切られた4人部屋の方が寛げたんじゃない?

と思いながらも・・・夜は更けて行った。


そして、夜。


あたし・主婦の頭の中


と少し不安になったものの、

昼間のモード切り替えで、

すっかり体力を消耗した私は、疲れていたみたい。

あっという間に眠ってしまったのであった。


自分再生への手術 入院編(3)いよいよ手術!につづく~




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今日から下の子の学校が始まりました。昨日の夜から、母は緊張。忘れ物ないか、宿題大丈夫か?夏休みに入った頃は、「早く学校始まってくれ~」と思うのに、昨日は「あと1週間、夏休みがあればいいのに」なんて思ってしまいました。親子とも夏休みモード抜けるまで、しばらく時間がかかりそうです。