女優! 女優! 女優!
週末のこと。
久しぶりにBちゃん夫婦が遊びに来た。
Bちゃんと言えば、今まで
一緒に挑戦してきたわ。
「いかにバカなことに情熱を燃やせるか!」
これ、私たちの飽くなき挑戦。
この日、Bちゃんは来るなり、
すごい鼻息でそう私に宣言したわ。
漫画カメラ、前にテレビで紹介していて、
すごく興味があったのよね。
携帯で撮った画像がすぐに漫画風に変換できるってもの。
Bちゃんはそう言い終えると、
すぐに世界の黒澤と化し、撮影に入ったわ。
監督の前でポーズを撮った私。
すると、どう?
シャッター切る前に監督からダメだしよ!
言われてみればそうよ。
私ったら、何躊躇っていたのかしら?
私は女優・・・
イメージはそうね・・・
夫が私よりイケてない女と浮気をした・・・
そんな感情かしら?
「ゆ、ゆるせねーーー!!」
カシャ!!!
監督は撮った画像を眺めながら、満足そうにこう言ったわ。
ほら!と渡されたiPhoneの画面、
私はワクワクした気分で覗いたわ。
いやだ! 何なのよ、これ!!
そんな私の乙女心も監督には通じないようで
次のシーンに進まれたわ。
そう・・・私は女優なんだわ。
どこからか、あの曲が流れてきたわ・・・
♪あ~ 時の川を渡る船に~
あら?Wの悲劇といったら武井咲じゃないの?
なんて言ってるあなた!
勘弁してよ!
Wの悲劇といったら、薬師丸ひろ子よ!
女優! 女優! 女優!!
イメージはそうね・・・
家に帰ったら、リビングに変死体・・・
カシャ!!!
今回も大満足の監督だけど、
私はやっぱり気になるわ!!
何をって? 私だって女優の端くれ(どこが?)
そうして撮ったのがこれ!カシャ!
何よ! 苦しい割には効果なし!
鼻の穴が単に白くなっただけで、
大きさは変わらないじゃない!(当たり前か?)
いきなり、前の方の歯が痛いって・・・?
どんな顔をすりゃいいのよ。
あっ、忘れちゃいけない!
女優! 女優! 女優!!
イメージは坂田利夫かしら? やるのよ、私!
カシャ!!
監督は大満足だったけど、
なんなの!これ!!
そりゃ、私、鼻は低いけどさ、
鼻筋は1本も拾わないで
ちゃっかりほうれい線は2本も拾うって
漫画カメラの悪意を感じるわ。
何をって? 私だって女優の端くれ(どこが?)
さぁ、監督!
寝転んでほうれい線も薄くなりましたし、
鼻筋も描きました!
どこからでもドーンと撮って下さい!
でも、どうしたことか、監督ったら、
まったくシャッターを押してくれないのよ。
監督
「女優なら汚れ役だろうが役になりきり
演じなければいけないだろ!!
変な乙女心は捨てなさい!
じゃ、次!
犯人はお前だ!のシーン。さぁ、行こう!」
本当に監督の言う通りだわ。
すっかり元アイドルが抜け切れなかった!(誰が?)
この作品で生まれ変わるのよ、いい?
アイドルの殻を完全に破るのよ!私!
すぐに風呂場から次女の水鉄砲を持ってきたわ。
カシャ!!
監督
「いい! なかなかいいじゃないか!
じゃ、次、コンセプトがイマイチわからない
自宅警備なうっていうシーンなんだが、
モクモクと煙が立ち込める室内という感じなんだ!
君の想像力、演技力が要されるシーンだ!いいね!」
「う・・・ん、悪くはないが、
何か小道具を使ってもいいかもしれない」
私はすぐに長女のジャイアンツ応援メガフォンを手にしたわ。
監督
「表情はいいんだが、小道具がインパクトに欠ける!」
じゃ・・・これならどう?
私は次女のおもちゃの笛をくわえた!
監督
「警備している感じが出ていていい!
じゃ、次は・・・引き続き自宅警備なうで、
自宅はすごい惨事になってしまった。
もはや1人ではどうすることもできない。
さぁ、応援を頼むんだ!」
携帯をトランシーバー代わりにしてみたわ。
監督
「いいよ~いい! その携帯が実にいい味出している!
じゃ、次は・・・
応援を頼んだ後、大量の煙に吸いこんで
君は床に倒れてしまうんだ!」
はい! 監督!
ゲホゲホゲホ・・・・
監督
「でも、君は死にたくないという思いから
そばにあったマスクと手ぬぐいをつけ、脱出を試みる!」
女優! 女優! 女優!!!!
はぁ~
監督はただシャッター押すだけだからいいけど、
私は言われるたびに小道具の調達やら、
迫真の演技を要求されるやらで、ヘトヘトよ~
なのに監督ったらその後、
なんて言ったと思う?
えっ? ちょっと勘弁してくださいよ~
と言いかけたその時だった。
えっ? 潤君とのデート?
頭の中、いろんなシーンが浮かんできて、
さっきまでの疲れなんてどこかへ飛んで行ってしまったわよ~
気がつけば、私は張り切ってこう答えていたわ!
それでは、『潤君とのドキドキでいと』
お楽しみください。
女優生命をかけて、臨みました!!
始まり~始まり~
ハチ公前なう♪
今日は潤くんとの初デート。
ドキドキして、昨日の夜は眠れなかったの・・・
それにしても!!!
潤君ったら!!
あっ、あれは!!!
すぐにわかったわ!!
だって、行きかう人の中、
遠くにいったって潤君だけ
輝いて見えたんだもーん!!
*ここで嵐のHappiness流れる
♪走り出せ~走り出せ~
もう抑えきれないわ~
でも・・・ど、どうしたというの?
どんなに走っても、プールの中で走っているみたい・・・
全然潤君に近づけないわ
と、その時よ。
チュンチュンチュンチュン・・・(鳥の声)
1本撮り終えて、監督はとても満足した様子だったけど、
夢オチなんて納得できない!
もう少しラブロマンス期待していたのに・・・
次回作に期待するわ!(ってまた撮るんかい?)
追記:
親しい友達と喋っている時、
「あっ、今、いつも描いている漫画の顔になっていたよ」と
よく言われる。
今回、漫画カメラ撮ってみて
その意味がよーくわかった!
なんだか、漫画カメラさえあれば、漫画描かないで
実写版でいけるんじゃない?と・・・ふっと思ったりして。
先日、俳優のローワン・アトキンソン氏がMr・ビーンを引退することを発表した時はショックでした。
「50代の人間がこういった子供じみたことをやるのが悲しくなってきた」というのが理由なんだそうだけど、私なんか思ってしまうわけですよ。志村けんとかビートたけしとか、大の大人が真剣に子供じみた?ことをやるから面白いんだって。Mr・ビーン、あっ、ローワン・アトキンソン氏、喜劇の才能があるだけに残念です。
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