イケメンレストラン①  からのつづきです



トイレのドアに貼ってあったスタッフ案内の貼り紙。


あたし・主婦の頭の中


それを見るなり、頭の中は早くも・・・


あたし・主婦の頭の中



そして、すぐに飛び乗ってしまったわ。

何にって? 聞くだけ野暮よ。 

そう・・・妄想列車よ・・・


あたし・主婦の頭の中


              ガタンドトンガタンゴトン~


6月のある日。

イケメンレストランでの朝のスタッフミーティング。

店長は、皆の前でこう言った。


あたし・主婦の頭の中



店長に紹介されて前に出た私だけど、

目の前に潤君がいると思うと

恥ずかしくて恥ずかしくてなかなか顔があげられなかった。


あたし・主婦の頭の中



ひきつづき、店長は私を紹介したわ。


あたし・主婦の頭の中



「やむにやまれぬ理由・・・」


そう、あれは昨日のことよ。

私が履歴書を手にこの店を訪れたのは・・・。


店長は、私の経歴に目を通すと、こう尋ねたわ。


あたし・主婦の頭の中



私は返事に困ってしまった。

だって・・・この店で働きたい理由なんて、

ただ1つ・・・。

でも、そんなこと正直に言えるわけがないじゃない。

私は苦し紛れにこう言った。


あたし・主婦の頭の中



すると、店長は急に申し訳そうな表情をして、

こう言ったのよ。


あたし・主婦の頭の中



すんなりその場で採用決定よ!!

私が涙を流して喜んだのは言うまでもないわ。


あたし・主婦の頭の中



涙を流し、喜ぶ私に店長は・・・


あたし・主婦の頭の中

そんな経緯があって、

私は面接の翌日からこの店で働くことになったというわけなのだ。



店長は言った。


「それにカータンさんは、接客業経験者だから

すぐに慣れて、即戦力になってくれると思うよ。

そうだ!!」


あたし・主婦の頭の中



な、なんてラッキーなの!

私の教育係が潤君なんて!!


だけど、ちらっと視線を上げて潤君の方を見た私はショックを受けた。

だって、潤君ったら、

どことなく冴えない表情を浮かべているじゃないの。


あたし・主婦の頭の中



潤君は私の横に来て、ぶっきら棒にこう言った。


あたし・主婦の頭の中


いやだ、望んでいたこととはいえ、

こんな間近に潤君のあの美しい顔があるなんて・・・。

恥ずかしくって、私はますます下を向いてしまったわ。


でも、きちんと顔をあげて挨拶しなきゃね。

そう思い、私が顔を上げたその瞬間・・・


あたし・主婦の頭の中


潤君の頬が少し赤くなったように感じたのは

私の目の錯覚かしら?

あたし・主婦の頭の中

↑これ、私だから!!

年甲斐もなくポニーテール?

そんな意地悪言わないで頂戴ね。

このポニーテールには秘密が隠されているんだから。


あたし・主婦の頭の中



私は出勤時間の5時間前から、

極太のゴムを50センチも使って、

しっかり顔のたるみを引きあげてきたのよ。


私が挨拶をすると、

潤君ったら、さっきまでの態度が一変、

真剣な眼差しで私を見つめていた。 


あたし・主婦の頭の中



ミーティングが終わると、

早速、潤君はこのお店のサービスを

私に親切丁寧に説明し始めた。


潤君、やっぱりあなたはステキよ・・・

私はついつい彼の顔に見惚れてしまった。


あたし・主婦の頭の中



あら、いけない! 

私ったら、

せっかく潤君が親切に教えてくれているのに、

彼の話なんてすっかり上の空だったわ!


あたし・主婦の頭の中



怒られる!!と思ったのに、どうしたことなの?

潤君ったら、妙に優しいじゃない?


あたし・主婦の頭の中



それにしても、不思議よね?

普段物忘れの激しい私だけど、

潤君に教えてもらったことはスルスルと頭に入って

いっちゃうの~。


潤君にも誉められちゃった!

でも、これが他の女の子の嫉妬を買うことになるなんて

この時の私は気付きもしなかったのよ。


あたし・主婦の頭の中



ランチタイムでにぎわう店内。

仕事も覚え、早くもホールに立たされた私が

お客様のテーブルに水を運ぼうとした時だった。


ドン!!



あたし・主婦の頭の中


いきなり女子大生のバイトのミホが、

私の肩にぶつかってきたのよ。

私はそのはずみで、

持っていたグラスを床に落としてしまったの。


あたし・主婦の頭の中



すぐに潤君が飛んできた。

「気をつけなきゃだめだろう!」と怒られると思ったのに、

潤君は私にじゃなくて、ミホに声をかけたのだ。


あたし・主婦の頭の中



厨房の隅に呼ばれたミホ・・・


あたし・主婦の頭の中



ミホの甘えるような口調とは対照的に、

潤君は厳しい口調でミホに向かってこう言った。


あたし・主婦の頭の中



「最低だよ!お前!!」


あたし・主婦の頭の中


潤君ったら、やめて頂戴!!(うそ)

あなたに嫌われた彼女の悲しみは、

私への憎悪になって返ってくるんだから!!(どんと来い!)


あたし・主婦の頭の中


コップの破片を拾い集めていた私の元に

潤君がやってきた。


あたし・主婦の頭の中



早く片づけなきゃという焦りから、

うっかり切ってしまった私の手を見て

潤君は驚いたようだった。


あたし・主婦の頭の中



私も大人の女よ・・・。

またこんなところをミホに見られでもしたら、(見せびらかしたい)

変な嫉妬を生んでしまうに違いない。(嫉妬カモ~ン)


私はサッと潤君の手を振り払った。


あたし・主婦の頭の中



ところが、潤君は何を思ったのか


あたし・主婦の頭の中



「放っておけないんだよ!!」



店中に響く声でそう叫ぶと・・・


あたし・主婦の頭の中



ちょっと・・・潤君、一体なにをしてるのよ!!


あたし・主婦の頭の中



着ていたシャツをサッと脱ぐと、

ビリビリとそれを引き裂いて・・・

血で赤く染まる私の手をそれできつく包んでくれた。


あたし・主婦の頭の中


じゅ・・・潤君・・・?


あたし・主婦の頭の中


潤君が大きなくしゃみをしたわ。


あたし・主婦の頭の中


ハハハ・・・


あたし・主婦の頭の中



おっといけない!

私ったら、ついつい妄想列車に揺られ、

トイレに籠ってしまっていたわ!


急いで席に戻ると、Bちゃんは青ざめた顔で待っていた。


あたし・主婦の頭の中



どうやらBちゃんも、膀胱破裂寸前の様子。

私が戻るなり、険しい顔をしてトイレに駆け込んで行ったわよ。


そして、トイレから戻ってきたBちゃんは、

スッキリしたのか、

すごく穏やかな表情でこんな話をし始めたのよ。


あたし・主婦の頭の中


なに? 急にどうしたのよ?

やけに真剣な感じじゃない? 


すると、Bちゃんはこう言ったのよ。


あたし・主婦の頭の中



はは~~ん、Bちゃん・・・?


あたし・主婦の頭の中



やっぱり図星?


あたし・主婦の頭の中



まったく油断も隙もあったもんじゃないわ。(って私もだけど)

その後、私たちは約束したわ。



「決して抜け駆けはしないこと!」



あたし・主婦の頭の中


抜け駆けしたからって、

どうなるわけでもないことくらいわかっているけど・・・


でもね、ドアを開ければ・・・


あたし・主婦の頭の中



潤君がお出迎えのイケメンレストラン。

私たち、しばらくは目の保養のため足しげく通いそうだわ~。






あたし・主婦の頭の中
↑この絵をクリックお願いします。ランキングに加算されます。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

あの後、イケメンレストランの地元に住んでいる嵐ファンの友人を誘い、もちろん、Bちゃんを裏切るわけにはいかないからBちゃんも誘って、3人で意気揚々と出掛けて行ったのだけど、その日、潤君は現れず・・・。店内の電話が鳴るたび「きっと潤君よ。寝坊してちょっと遅れますって連絡じゃない?」なんて言いながらずいぶん待ったんだけどね・・・。すっかり意気消沈して帰ってきた私たちです。

イケメンレストラン、皆にも教えてあげたいわ。でも、少しだけ待ってて頂戴。もう少し一人占めさせてちょうだい。