2月のある土曜日、

長女の学校の学習発表会がありました。

舞台の上でクラスごとに、

物語を暗唱したり、歌ったり、たて笛、あっ間違えた!

リコーダーを演奏したりする発表の場です。


夫と学校に向かう道すがら、こんなことを話していました。


あたし・主婦の頭の中


「今年は何をやる?」

そう、去年まで私はすべてを知りつくしていました。


なぜなら、発表会が近付くこの時期になると

決まって長女は「ママ、聞いててね」と言って、

私の前で毎日練習していました。


あたし・主婦の頭の中


そんな長女を前に、

私は演出の鬼・蜷川幸雄になりきってました。


あたし・主婦の頭の中



毎日の厳しい稽古。

演出家・蜷川幸雄は(私のことね)、

長女の台詞以外も、すべて知り尽くしていました。


でも、そんな私には悩みもありました。

発表会当日も、演出家・蜷川幸雄が抜けきれず・・・


あたし・主婦の頭の中


一父兄として、発表会を楽しむことができないということ。


ところが、今年は違いました。

発表会が近付いても、長女は何も頼んできません。

かえって心配になって、こちらから尋ねると・・・


あたし・主婦の頭の中


長女はこんなことを言ったのでした。


あたし・主婦の頭の中


どうやら、秘密にして驚かせたい、

長女もそんなことを考える年頃になったみたい。


あたし・主婦の頭の中


長女の最後の学習発表会。

やっと私は母として、

発表会を楽しむ機会に恵まれたというわけです。



さて、そんなサプライズな発表会がいよいよ始まりました。

まずは1組の児童が入ってきました。


あたし・主婦の頭の中


彼らの入場してくる姿を見ていたるだけで・・・うぅ

早くも熱いものがこみ上げてくる私でした。

そんな私を横に、夫は呆れたようにこう言いました。


あたし・主婦の頭の中


そう、長女は2組です。

でもね・・・6年間、一緒に過ごしてきた長女の友達は、

クラスは違っても、よーく知っています。


大きく成長した彼らを見ていると、

1年生だった頃の幼い姿と重なって・・・


あたし・主婦の頭の中


親戚のおばちゃんのような感情になってしまうものなのです。


それからも大変でした。

暗唱を聞いても涙。歌を聴いても涙。

涙が止まりません。


あたし・主婦の頭の中


でも、そんな思いにかられていたのは、

私だけではなかったようです。

夫のとなりに座ったA君のお母さんも泣いていました。


あたし・主婦の頭の中


涙、涙・・・。

暗唱の内容は、ダジャレの効いた小噺もあったりしたのですが

終始涙で各クラスの発表が終わりました。


最後に6年生全員が舞台の上に立って、

先生が父兄に向かって言いました。


あたし・主婦の頭の中


先生に言われた通り、席を立とうとした時、

夫が私の耳元でこう言いました。


あたし・主婦の頭の中


イチイチうるさいわね!

いいじゃないの!泣きたい時には泣いたってさ!!

まったく空気の読めない男です。

 

会場に、スマイルアゲインの前奏が流れ始めました。

と同時に舞台の上からスルスルと

大型スクリーンが下がってきました。


あたし・主婦の頭の中


♪自分がとてつもなく 

♪ちっぽけにみえることがあるよね~


子供たちの合唱が始まると

スクリーンには、6年前・・・

1年生だった当時の画像が流れ始めました。


あたし・主婦の頭の中


その多くは、親の私たちが知らない姿。

学校でのなにげない子供たちの姿でした。


あたし・主婦の頭の中


屈託のない笑顔、

当たり前だけど、皆、小さい。

まだ幼さを残したまん丸い顔が映し出されます。


これを見て、泣くなという方が無理です。

一気に大量の涙が頬を伝い・・・


あたし・主婦の頭の中


持っていたハンドタオルをサッと頬にあてようとしたその時。


あたし・主婦の頭の中


手元のハンドタオルを

誰かがグイグイ引っ張っているではありませんか!


あたし・主婦の頭の中



誰かって・・・そう、この人しかいない?

隣の夫の顔を覗き見ると・・・


あたし・主婦の頭の中


そこには私以上に大量の涙を流し、

声を押し殺して、むせび泣く夫の姿が!!


あたし・主婦の頭の中


えっ?と思ったその瞬間。


あたし・主婦の頭の中


手元のハンドタオルがサッと私の手から奪い取られ・・・


あたし・主婦の頭の中


それからは、己の涙をぬぐうために、

1枚のハンドタオルを巡って両者譲らず!!

泣くのも忙しければ、

ハンドタオルを奪い合うのも忙しい。


あたし・主婦の頭の中


そして、ようやく涙、涙のスライドショーは

幕を閉じたのでありました。


大きな拍手に包まれながら、6年生が舞台を降り、

客席の横を通って、会場を後にして行きます。

私たちは、惜しみない拍手を送りました。


あっ、いよいよ娘がこちらにやってきます。

私たちは拍手をする手をさらに強め、


あたし・主婦の頭の中


娘を見送ろうとした時でした。

娘が強い口調でピシャリとひと言。


あたし・主婦の頭の中


怒りながら通り過ぎて行った・・・。


あたし・主婦の頭の中


完全に豆鉄砲を食らった私たちです。


あとで娘にそのワケを尋ねたら・・・

舞台で少し感傷的になってスマイルアゲインを歌っていたら、

ツンツンと隣の友達に肘で小突かれ・・・


あたし・主婦の頭の中


友達の顎が示す方に目を向けると・・・


あたし・主婦の頭の中


そこには、異常なほど涙を流し、


あたし・主婦の頭の中


手元のハンドタオルを奪い合う両親の姿が!!


あたし・主婦の頭の中


その様子は舞台の上からも丸見えで、

途中からはもう感傷的な気持ちも消え、

ただ恥ずかしくて仕方なかったというのです。


あたし・主婦の頭の中

そう聞く長女に私たちは言いました。


大丈夫、心配しないで頂戴!


あたし・主婦の頭の中


卒業式はパパにもタオルを持って行ってもらうから。


あたし・主婦の頭の中

そうよ、ぺーちゃん。

卒業式は泣きに専念させてもらうからね!!

覚悟していて頂戴!!

追記:

そう言っていたのですが、11日以降、残り少ない小学校生活をそのままに学校は休みとなり、結果、卒業式は行われないことになりました。

そして、昨日、父兄同伴の元、小学校最後の登校日を迎えました。

登校してきた順に、教室で担任の先生から成績表を受け取り、それから、図書館に行き、クラスも出席番号も関係なく列に並び、校長先生から卒業証書を頂きました。

もちろん、卒業式ではないので、開会の辞もなければ、歌も答辞もありません。そうして、友達とおしゃべりして、記念品を受けとり、帰ってきました。

卒業式がなくて残念という気持ちがまったくないわけではありませんが、でも、将来、この日こそが、長女にも私たちにも忘れられない思い出となると思っています。もう1つの決して忘れてはいけない出来事とともに、いつまでも私たちの記憶の中に刻んでおこうと思ってます。


記念品にスマイルアゲインのオルゴール入りの写真立てを頂きました。さっき、それを聴きながら長女、夫と私の3人で歌ったら、3人とも声が震えてしまいました。スマイルアゲイン、今のこんな時に聴くと、また歌詞が心に響きます。スマイルアゲイン 。良い曲ですね。


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フォトブックのHP更新しました。

今回は『母から娘へ~卒業記念』と題して、

今日、小学校を卒業した長女の6年間の成長の記録を

2冊のフォトブックに納めてみました。


あたし・主婦の頭の中


表紙は長女が図工の時間に作った作品を使ってみました。

あっという間の6年間のようでしたが、

こうしてアルバムを作りながら振り返ってみると・・・

う~ん、母として感慨深いものがありましたよ~。

よかったら、見て下さい。  第8話はこちら



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あたし・主婦の頭の中

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