介護される側の言い分 する側の言い分
週末のこと。友達夫婦が遊びにきた。
夫が椎間板ヘルニアで寝たきりになっていたことも
私がそんな夫の介護をしていたことも
よく知っているBちゃんは、来るなりこう言ったわ。
ありがとう! Bちゃん。
三週間以上に及ぶ介護生活。
お風呂にも入れないでしょ?
だから、ベッドの端に頭だけ出させて、
何度も何度もお風呂場にお湯を汲みに行って・・・
髪を洗うのも一苦労だったわ~
そう私が話すと、Bちゃんは心から感心してくれた。
「ね、そうでしょ? もとちゃん(夫)!」
そうBちゃんが同意を求めるも、夫の返事はない。
そして、ボソリとこんなことを言ったのだ。
「いいや・・・Bちゃん・・・聞いてくれる?
すごい低姿勢で・・・
と頼んだって・・・ヘビのような目をしてさ、
1日中、家の中でゴロゴロしてるんだから、
そんなに汚れていないはずよ! って・・・
そう突き返えされたりしたんだよ・・・」
なんて!!
もちろん、私は反論したわ!
私はね! こう言っただけじゃない!
外にも出ていないし、まだ洗わなくても大丈夫よ。
洗う姿勢も腰に負担掛かっちゃうでしょ?
って! まったく人聞きの悪い! 勘弁してよ!
すると、夫はまたこんなことを言い出すじゃない。
「Bちゃん・・・聞いてくれる? 俺がね・・・
喉が渇いて・・・枕元に置いてある麦茶じゃなくて、
アイスコーヒーでも飲みたいなって・・・
と頼んだ時だって、こうさ・・・
麦茶がそこにあるだろうが!
アイスコーヒーなんて飲んだから、ますますトイレが近くなるんだよ!
って・・・聞いてもくれなかったんだ・・・」
ちょっと! 冗談は休み休み言ってよ!!
私はね、ただこう言っただけじゃないの!
お腹痛くなったら大変じゃない?って!!
それにその後(渋々)、アイスコーヒー入れてあげたじゃないの!
夫はさらに続けた。
「それからさ、部屋に入って来て、
尿瓶を見るなり・・・
暴言じゃない? 信じられないでしょ?」
ちょっと!! 私の方が信じられないわよ!
私はね! こう言っただけよ!
そう言っただけじゃない!
「それに・・・俺がご飯を残さず平らげているとさ・・・
空っぽになった食器を見て・・・
こんなことも言われたんだ・・・
ここまでくると悪魔だよね・・・?」
ちょっと、なによ! 今度は悪魔扱い?
冗談じゃないわ! 私はただ・・・
そう言ったつもりだけど!
どうしてこうも捻くれて人の話を聞くわけ?
「まだあるよ・・・Bちゃん、
俺の寝ていた部屋は洗濯物を取り込む時に
使う部屋なんだけどさ・・・
あぁ、忙しい! 忙しい! って、
大音量で叫びながら、俺の体の上にバンバン洗濯物を
放り投げてくるんだよ・・・絶対にあれはわざとやっていたんだ・・・
そうして、それに少しでも文句を言ったら・・・
って・・・俺、可哀相だと思わない?」
はぁ? 確かにあなたの体の上に洗濯物が掛かったわ。
だけど・・・
洗濯物をベッドの上に取り込むのはいつものことで・・・
洗濯物を取り込む場所に、
たまたまあなたの体があっただけのことじゃない。
それに、私は親切心でこう言っただけよ。
余りにも退屈そうだったから、
そう提案してあげただけじゃないの!
「あっ、病院の先生がさ、
そう言った日からはさ、尿瓶はさっさと片付けられて・・・
*歯磨きセット=歯磨き粉付き歯ブラシ、水の入ったコップ、
口を濯ぐ洗面器
と頼んだから、鬼の形相でこう言われたんだ・・・
怖くて震えたよ・・・」
信じられない! 私はね! 私はこう言ったのよ!
そして、星明子のように柱の陰からあなたを
涙浮かべて見守っていたのよ。
(ここまで言うとウソ臭い?)
親切ばかりが優しさではない! 私はそう思ったのよ!
「Bちゃん、だからさ、俺が最後の週、
医者が驚くくらい劇的な回復を遂げたのも・・・
なに!!
献身的な介護のお陰でよくなったんじゃなくて、
危機感からくる治癒力で回復したって?
真っ向から意見が対立する2人。
今にも取っ組み合いの喧嘩が起こりそうだった。
その時、Bちゃんの旦那さんが慌ててこう言ったのだった。
まぁ、お互い納得いかないけど、それもそうね。
で、よしとするか!!
そう思った時だった。夫が少し照れくさそうにこう言った。
「あっ、でも、すごく感謝していることもあるんだよ。
やっぱりどんなに痛くて歩けなくても・・・
トイレまでね。有難かったよ。
俺の気持ちわかってくれて・・・
文句1つ言わず、献身的にやってくれた。
なんて健気なんだろうって、こればかりは感謝したよ」
そう言った夫に、私は
と反論しかけて、ここはゴクリと飲み込んだ。
だって・・・だって・・・
まさか心の中でこんなこと思っていたなんて・・・。
いくらなんでも、大きい方の始末は勘弁しておくれ!
そんな思いで、必死に運んでいたなんて・・・。
正直に話さない方が良さそうね。
ここは健気な妻で、通すことにしておこうっと!
追伸:
夫は近く、虐待鬼嫁日記の執筆に取り掛かるらしい。
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九州旅行に行くお友達にお土産は何がいいかと聞かれたので、『からかもん』を頼みました。そして、買ってきてくれました!からし高菜の油炒めです。昔、九州が実家の同期によくお土産にもらっていたんだけど、ホント大好きな味。パンチのある辛さと程よく油を含んだこの味に新米が合う!合う! 『からかもん』のせいで、昼ご飯3膳、夜2膳、そして、深夜に2膳・・・食欲が止まりません。2袋もらって、残り1袋。これがある限り、白米の消費量と体重はグングンと右上がりに伸びていくことでしょう。
では、今日も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
コメント
コメント一覧 (12)
夫婦ですごい温度差ですね^_^
旦那様、なるべく早く回復されるといいですね。
カータンさんも無理してお身体を痛めないようにしてくださいね。少しの負傷でも、治るのに若いときの3倍は時間のかかるお年頃ですから。(同い年です)
だけど男って、ほんとに手がかかる上に僻みっぽい生き物ですよね。笑
失礼ながら、朝から笑わせていただきました。
カータンが、力持ちって事も良くわかりました。
お疲れ様でした。
物は言いよう、物は聞きよう🤣
ご夫婦の仲の良さが伝わってきます👍
もう笑いました!可笑しくて可笑しくて!
良いご夫妻じゃないですか~。
この8年前の絵を見て思いました。
これはこれでパンチあって味があって楽しい絵だけど、カータン劇的に上達してますね。
凄いわ!それにも感動。驚くわ~。
カータンの絵が大好きです
介護の仕事してますが在宅介護は大変だと思います
それをネタに笑いにしてくれるカータンは素晴らしい!
介護してる方には、頭が下がります。
かーたんさん、凄く恐いですが…
夫婦漫才のようです( ´艸`)
カータンの愛が溢れているお話です!
私も見習いたいなぁ
無理だなぁw
朝から涙を流して笑いました。
私の夫はこの前ギックリ腰をやらかしまして。
なんとか会社の人に車まで運んだもらい自分で運転して帰ってきましたがマンションの駐車場に辿りつき力尽きたようです。
私が呼ばれて行った時には車の横でうずくまっておりましたわ。
携帯で調べたところギックリ腰で救急車は呼べない、はてこの巨体をどうする?
結果マンション備へ付きの荷物を運ぶ台車にスーツ姿のいい歳のオッサンを体育座りで乗せマンション5階まで運ん運んだ次第です。
いや〜この時の駐車場からマンションの遠いこと!
夫が可哀想なんて気持ちは微塵もなく、鬼のような形相で運んでおりました。
ただただマンションの住人に会わないよう祈りながら。
その後の介護はほぼカータンと一緒です。
大変な出来事も明るい記事にできるカータンは本当に素敵な人ですね。
大好きです^_^
めっちゃ面白くて涙流して読みました(*^^*)
それからずっと楽しんで読んでおりますが、この会の日記はやっぱり格別だあ(* ̄∇ ̄)ノ
旦那さまの回復を祈りつつ、また面白いお話も期待しております(*^^*)
男前のご主人の鼻毛&無精ひげが、笑けます。どちらも自分の立場にならないとわからないですよね。
私も夫がそうなったときしてあげられるかしら。
ギックリ腰程度はあるんですけれど、あの時は手を引いてよちよちまだ歩けたのでね。
今は水のいらないシャンプーとか便利なものを見かけたことありますね。