「龍の羽」 で占いをしてもらった後に、

すぐ目の前にある免税店に向かった私。

無性に買い物がしたくなったの。


あたし・主婦の頭の中


「すいません、ちょっとこれ・・・見せてもらっていいですか?」

そう言って、自分の腕につけてみる。


あたし・主婦の頭の中


あら、何だかあっちの宝石も魅力的だわ。


あたし・主婦の頭の中


光輝く指輪をつけて、うっとりよ・・・。


あたし・主婦の頭の中


そんな物欲の塊と化した私に、

姉は怪訝そうな顔でこう言った。


あたし・主婦の頭の中


そりゃそーだ。昨日までは・・・


あたし・主婦の頭の中

なんてことを言ってた私だもの。

でもね、私、変わるの!


あたし・主婦の頭の中


龍羽先生がこうおっしゃったのよ。

「あなたは一生、食べることには困りません!」


あたし・主婦の頭の中


ガーーーン!!


あたし・主婦の頭の中


「そう!」


あたし・主婦の頭の中


「欲しいものを買って、そしてまた頑張る、

それがいいのよ!」

って私、言われちゃったんだもんね~


あたし・主婦の頭の中


で、私は、免税店で何を買ったでしょうか!?

答えは・・・


あたし・主婦の頭の中


結局何も買わず・・・いえ、買えず!!

いやになっちゃう・・・こんな小市民の自分が!

大枚を叩く勇気が持てず、

寸でところで、清水の舞台にしがみついちゃったわよ!

あーやだ! いやだ!


しかたないわ。

それだったら、せめて美味しいものでも食べに行きましょう!

私たちは歩いて15分くらいのところにある『六福』へ向かったわ。

住んでいた当時、よくここに飲茶を食べに来たのよね。

だから、つい懐かしくって・・・。


でもね、この道を歩いていると、

もう一つの出来事を思い出すわ・・・


あたし・主婦の頭の中


そう、姉中2、私小5の春。

私たちがまだ台湾に引っ越してきて間もない頃だった。


学校からスクールバスに乗ったんだけど、

どうも降りる場所を見過ごしてしまったみたい。

バスの中には私たちだけが残されたの。

運転手さんに

「バス停は、もうないあるよ! ここで降りるある!」

と言われ、全然知らないところで降ろされたの。


あたし・主婦の頭の中


まだまだ右も左もわからない台北の街。

全然見覚えのない場所で私たちはバスを降ろされた。


あたし・主婦の頭の中


心細くなって、姉にすがると、姉は勇ましくこう言ったわ。


あたし・主婦の頭の中


私たちは勘を頼りに歩いたわ。

でも、ここは家からどのくらい離れている場所なのか、

どっちに歩けば家に着くのかもわからないわけで・・・

それでも、私は気丈な姉について必死に歩いた。


あたし・主婦の頭の中


それでも、一向に見覚えのある風景は1つも現れず・・・

私はついに泣き出した。


あたし・主婦の頭の中


すると、急に何を思ったのか、

姉が自分のバッグをゴソゴソと探り始めた。


あたし・主婦の頭の中


そうして、一枚の紙を取り出して言った。


あたし・主婦の頭の中


それは、父に

「もし迷子になったら、タクシーに乗りなさい。

そして、この紙の通りに言えば、家のすぐ近くまで来られるから」

と渡されていた紙だった。


あたし・主婦の頭の中


姉は任せなさい! と言わんばかりに、

私に心強い口調でこう言ったわ。


あたし・主婦の頭の中


そうして、タクシーに乗り込むと、姉は必死に読み始めた。


あたし・主婦の頭の中


ところが、何度言っても通じやしない。

終いに、運転手さんが


あたし・主婦の頭の中


そう言って、その紙を私たちの手から取ると、


あたし・主婦の頭の中


タクシーは走り出した。 

そう、私たちの住む家の方へ向かって。


あたし・主婦の頭の中

「これで帰れる!」と私たちは心底ホッとした。

あぁ・・・段々と見慣れた風景が目に入ってきたわ。

あとは、中山北路を右折すればOKね!


と、思ったところで、タクシーは中山北路を右折せずに

南京東路を超え、南京西路をグングン走っていったのだ。

あたし・主婦の頭の中


「連れていかれる!」すぐにそう思ったわ。


あたし・主婦の頭の中


私たちがお騒ぎしていると、

運転手さんがすぐにUターンして、中山北路に戻り、左折した。


後で、わかったのだけど、

南京東路から中山北路は右折禁止だったのね。

だから、運転手さんは、その先まで行って、

Uターンして曲がってくれたんだけど、

そんなことわからない私たちはホントに

どこに連れていかれるのか気が気じゃなかったというわけ。


その頃には、空も随分と暗くなってて・・・

四月の台湾の日の長さを考えたら、

私たちがどれだけ当てもなく歩き回ったかを物語っていた。

家の近くで、無事にタクシーを降りた私はホッと一安心。

あたし・主婦の頭の中

そう姉に話しかけるも・・・姉は返事をしなかった。


あたし・主婦の頭の中

変に思って、姉の方を見ると・・・

さっきまであんなに気丈だった姉が泣いていた。


あたし・主婦の頭の中

きっと妹の手前、

自分がしっかりしなきゃと一所懸命頑張っていたのだろう。

今振り返っても、あの時の姉の強さには頭が下がる思いだ。

私がいまだ姉に頭が上がらないのは、

こんなことの積み重ねなんだと思う・・・。

お姉ちゃんは、えらい!


そう・・・私たちが今、歩いている道は、

あの時、散々迷子になって歩き回った道・・・。

実際は行天宮の付近で降ろされたから、

六福からもかなり離れているんだけど、

でも、松江路を行ったりきたりしたのよね~。

あたし・主婦の頭の中


そんなしみじみとした気持ちで、六福に着いたら、


あたし・主婦の頭の中

そんな~!! 

でも、やっていないもんは、仕方ないわ。

姉がホテルの近くに美味しい四川料理の店があるって言うので、

また引き返すことに。


あたし・主婦の頭の中


そう長女は言ったけど、私は強い口調でこう言ったわ。


「大丈夫よ! もう迷ったりは、しないんだから!

さぁ、歩くわよ! しっかりママについてらっしゃい!」


                         つづく


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二週間近くブログを更新せずにすいませんでした。

実は、ここ二週間、朝から晩までひたすら原稿を書いておりました。漫画ではなく、エッセイです。なんとか昨日、原稿用紙300枚、無事に書き終わりまして、きっと今頃、アイドル小林が一所懸命、誤字脱字をチェックしてくれていると思います。「誤字脱字多過ぎだよ!」と溜息をつきながら? 夏が来る前には、詳しいご報告ができると思います。 その時には、どうぞよろしくお願いします。

絵を描いている時間が取れず、更新できなかった間、つぶやきでも書こうか、なんて思ったりもしたんだけど、

「あんたのつぶやきなんて、誰が聞くよ?」という己の声に断念。結果、心配して下った方から、メッセージをたくさん頂きまして・・・恐縮しております。ご心配をお掛けして申し訳ございません。

では、今日も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。