そんな鉄子な次女のために、

お盆で大森の夫の実家に行った時、

私は次女を連れ、駅近くの陸橋の上から

次女に電車を見せてあげようと思ったのだ。

案の定、次女は大興奮。

行き交う電車を見ては、奇声を発していた。

そんなに興奮しなくても・・・

と思いながら、私も電車を見下ろしてみた。

その時だった！！

私は見たのだ！

運転手さんが私たちに手を振ってくれている姿を。

白い手袋と白い歯がキラリ・・・

年齢とか容姿なんてはっきりはわからなかったけど、

でも、それはとても爽やかで・・・

私の心の柔らかい場所にズキーン！！

胸が熱くなった・・・。

それから何台も電車は、

私たちの下を通り過ぎて行ったけど、

その電車のほとんどの運転手さんが私たちに

白い手袋と白い歯・・・そして、軽く警笛を鳴らしてくれたりした・・・。

なんて、優しい人たちなんだろう・・・。

手を振る行為は、決して大変なことではないけど、

でも、こんな何気ない行為１つで、こんなにも喜ぶ子供がいる・・・。

鉄子な次女にとって、この行為は、

大リーグを夢見る少年が松井選手に手を振ってもらっている

それくらいの価値があるはず・・・。

人の優しさが嬉しくって・・・

奇声を発する次女を抱きしめながら、

私は涙が止まらなくなった・・・。

と、その時！！

誰かが私の肩を叩いた。

夫だった。

夫は私の手から次女を奪うと、こう言った。

あなたたちを追いかけて、こっちに来てみたら・・・

陸橋の上で、子供抱えて泣いている

悲壮感漂う母親がいるじゃない！

どう見たって危ない親子だよ！

私は言ったわ・・・。

この涙の理由・・・

説明する必要なんてないもの・・・

夫は怪訝そうな顔で私を見たわ・・・。

まったく理解できないと言った感じに・・・。

ほら、電車がきたわ・・・。

白い手袋と白い歯・・・

と夫の方を見て・・・

あなたにも・・・

どうやらわかったようね・・・。

わかり過ぎたみたね・・・。

あなたもほら、泣いているじゃない・・・。

それから・・・

私たちは、どのくらい行き交う電車を眺めていただろう・・・。

道行く人たちの視線を感じながら・・・。

ご通行中の皆さん。

大丈夫です。心配しないでください。

私たちは幸せです。

ただ電車を眺めているだけですから・・・

そう・・・

人生に絶望してこんな場所で泣いているわけではありません。

むしろ・・・人生捨てたもんじゃない・・・

人間っていいもんだな・・・と泣いているのです・・・。

追記：

最後のイラスト、次女が柵越えしてますが、絵の描き方ミスなので、

見逃してください・・・。虐待とか言わないでね・・・。