4年前の冬・・・ペー(当時5歳の娘)と私は

とても忙しい日々を過ごしていた・・・。


「映画の撮影がね~ぷっか~(桃井かおり風)」


映画出演?

SO!友人の弟さんが映画専門学校に通っていて、

卒業制作映画を作るため、うちの娘に出てくれないかと

言ってきたことから始まった。


話を聞くと、登場人物は「主役の子供、母親、大人になった主役」の3名。


「うちの娘・・・でよかったらどうぞ。

で・・・その母親役ってもう決まったんですかね?」


「まだなんですよ~これから探さないといけなくて・・・」


「で、めぼしい方はいらっしゃる?」

「それが・・・なかなか見つからないんですよ・・・」

「うちの娘人見知りがちでね~(大嘘)・・・

よそのお母さんになついて演技なんかできるのかしら~?」

(そもそも演技なんてもんができないんだけど)

「そうですよね・・・」

「で?」

「えっ?」



目力炸裂!


「あぁ・・・や、ヤッテイタダケルんですか?」(かなり棒読み)

「もうしょうがないわ~!そう言われたら~」


このようにして、安達裕美親子の日々は始まった。

ほとんど娘ばかりの撮影。(当たり前じゃーーー)

そして、ついに私の撮影の日が来た!


一応ヘアーメーク専門学校を出た女の子が私に化粧をしてくれ

母やる気満々です。


4人の若い学生(男子)に囲まれ、カメラの前に。


「ここは、ストレスの溜まった表情で、

ダンナも私のことなんてわかってくれない、

子供に辛く当たってしまう・・・

半ば絶望したって感じの表情でお願いします!」


「OK!まかせて頂戴!」


カメラが回る・・・。

私は女優・・・

私は辛い・・・

ダンナも私をわかってくれない・・・

絶望感・・・


「良い表情です」


「すごい雰囲気出てます」


「言うことないです」


「完璧でした」


え?もう終わり?なんと1回でOK。

女優としては1回でOKとはちょっと不服だったが、

でも、優秀な女優は1回でOKをもらうものかも・・・。


「ペーちゃんママ、最高でした!」


と学生=若い男子4人にも言われ、私の出番はクランクアップ。

あら、花束ないじゃない!


そして、映画は出来上がり、渋谷の小さな映画館での

上映会に招待された。

レッドカーペットを進み(ねーよ、そんなもん)

娘と夫と意気揚々と会場に入る。

空席がないくらい場内は満席。人を掻き分けながら


「あの、次始まる映画、私出てますんで。

そこんとこ、よ・ろ・し・く~(YAZAWA風)」

と言いたい衝動に駆られる・・・。(あんたって一体・・・)


場内は真っ暗・・・。スクリーンに光が当たり・・・

ついに・・・・映画は始まった・・・・。





自分の満たされない心を娘のお稽古事に掛ける母・・・

娘の手を引き・・・顔半分しか映っていない・・・
しかし、口元、手先、力はいってます!ロボコップです!




娘なかなかいい演技です!


そして、

ついに私の出番が!

  ドクンドクンドクン・・・・

                        ドクンドクンドクンドクン・・・・・

出た~!




スクリーンいっぱいこの顔ですよ!


はい・・・

会場は凍りつきました。


ヒュルルルル・・・・・・雪の結晶




映画が終わって夫に言われました・・・


 ←これからの暑い季節、

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