今日11月16日から公開される
歌川たいじさんの実話を元に作られた映画。


 スクリーンショット 2018-11-15 9.15.42

公開に先駆けて、
プレミアム試写会に呼んでいただいた。

お母さん役の光子を演じた
吉田羊さんが舞台挨拶でこう話された。

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「でも、そんなひどい話ばかりなのに
話した後、歌川さんがいつも笑顔で
こうおっしゃるんですよ」

2

「そんな歌川さんを見たとき、あっ、そうかと・・・」

3

吉田羊さんのその言葉がとても心に残った。

一所懸命生きた人
未熟なまま母役を強いられた人


映画が始まる・・・
スクリーンに映し出されるお母さんは
綺麗だけど、情緒不安で、
タイジ(歌ちゃん)にイラつき
容赦なく手を挙げる。
思わず目を背けたくなるシーンはたくさんある。

不仲な両親の喧嘩に耳を塞ぎ、
本心を隠し、大人の顔色を見て
「嘘笑い」をするタイジ。

胸が痛んだ。
歌ちゃんと私は1歳しか年が変わらない。
そして、同じ東京だ。

4

ただただ悲しい気持ちになる。

私の周りには
こんな友達は誰もいなかった。

いや、もしかしたら・・・
気づかなかっただけかもしれない。

虐待はいつだってなかなか表には出ず、
壮絶な虐待の末、子供が命を落とした時、
マスコミはそれを一斉に取り上げる。

それを見た人は、
誰もが「可哀想な子」と涙する。
なんでもっと早く気づいてあげなかったのかと悔いる。

そして、世間の怒りは、
虐待した親に向かう。
「なんてひどい親だ」「それでも親か」
非難の言葉だけが投げられる。

確かに大人が弱い子供を虐めてはいけない。
命を奪うなんてもってのほかだ。

でも、私はこの時、
吉田羊さん演じる光子の寂しさに
同情する気持ちも芽生えたのだ。

5

子供への虐待はあってはならない。
でも、きっと光子はやり場のない切なさを
タイジへ向けていたのではなかったのか?

こういうことを書くと、
じゃ、辛かったら子供を虐待してもいいんですね!
そう言う人がいるだろう。

ストレスのはけ口に
子供を虐待して、いいわけがない。

でも、
おそらく原作を書いた歌ちゃん本人も
この映画に携わった人たちも

このストーリーに、
『未熟なまま母役を強いられた人』は
いること、
その未熟な部分にも
誰かが手を差し伸べてあげなければいけない
そのことも伝えたかったのではないか?
私にはそう思えたのだ。

この映画(実話)では、
それが息子のタイジだったのだと思う。

親に愛されずに育ったタイジが、
周りの温かい人たちとの出会いの中で
自分を愛することで生きていく自信を掴み
未熟な母に歩み寄る。

だから、この映画は、
親からひどい虐待を受けた

可哀想な子供の物語で終わらないのだ。

普段はお気に入りのものに出会っても
ステマだろ?と言われるのが怖くて
控えめに書いてる(つもりの)私だけど
今回は、声を大にして言うわ!

6

悲しい涙の後に
温かい涙を拭うタオルは
どうか忘れないでね!



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昨日1日(正確にはこの1週間)文字を打ってはdelete・・・この映画に対する思いが大きすぎてなかなか書けない。子供の運動会の保護者競技に駆り出されたお父さん状態、はたまたバカボンのおまわりさん状態? 思いだけが空回りし、一向に先に進まないのだ。正直、伝えたいことのすべてを伝えられたかと言えば、まだ全然。でも、これ以上は映画を見た方の思いに委ねたい。もし週末の予定がなかったら、ぜひ見てください。太賀くんが時に歌ちゃんに見えるくらい歌川たいじを熱演してます。プレミアム試写会には、次女も一緒に行かせてもらったのだけど、2人で号泣。そして、次女は後半何度も私の手をぎゅっぎゅっと握りしめてきた。それは怖いからではなくて、きっと母の愛を確かめたくなったんだと私は思ってる。