おしんスッチー K先輩のいじめ物語(3)
泣く子も黙る恐ろしい先輩、K!!
Kの口癖はこれ!

でも、10年早いと言われても・・・

いつも心の中で思っていたけど、
もちろん、怖くてそんなこと口が裂けても言えなかった。
よく親にもKのことは愚痴っていたわ。
すると、母はいつもこう言った。

母は、何にもわかっちゃいない。
この世には、言いたくても言えない絶対的な上下関係があるってことを。
一方、父はこう言った。

それは貧しい家とか裕福な家で育ったとか、
そういった意味では決してないんだ。
親や学校で、躾とか常識とか思いやりとか・・・
そういうことを何一つ教わらずに育ってきたという意味だよ。
だから、善悪だってわからないんだ。
可哀想な価値観の持ち主なんだって思いなさい。
今度またKに理不尽なことを言われたら
おまじないと思って、心の中で唱えてごらん。
あきらめがつく、そして、心が穏やかになるから。
ホントに、そんなものなのか・・・?
そして、ある月のスケジュールを受け取った私は・・・

またしても、Kとの生け贄フライトが組み込まれていた!
でも、あら?よーーーーく見ると!

そう、私だけではなかったのよ!!
生け贄仲間のJ子と喜び抱き合ったのは言うまでもないわ。

そうよ、同期と一緒なら、
例えKに怒られたとしても・・・

その怒りは二分になる。
どんなに気が楽かしれないわ~。
そうして迎えた生け贄フライト当日。
私はJ子とKに挨拶をした。
やっぱりKは怖かったけど、
横に同期がいると思うと心強かった。

Kは相変わらず、何も言わずに私たちを睨みつけた。

体が震えるような恐怖感。
でも、横にはJ子が・・・と思った私だけど、
次の瞬間、目を疑ったわよ!

なんということだろう!
KはJ子に満面の笑みを浮かべ、挨拶を返したじゃないの!!
目の錯覚?
いいえ、錯覚ではなかったわ!
Kは最高の笑顔でJ子に聞いた。

そうして、上機嫌でJ子を連れ、歩き出した。

な、な・・・何が起こった?
この時の私には理解できなかった。
もしかして、J子は同期唯一のK秘蔵っ子とでもいうのか?
ところが、機内でKがビジネスクラスに消えると、
J子が私にこう言ったのよ。

この時、私は遅ればせながら気づいたのよ。
これもKのいじめのやり方だってことに。
2人一緒にいじめると被害者という連帯感が生まれ、
いじめによるダメージが弱くなる。
だから、1人を徹底的に可愛がり、
もう1人を徹底的にいじめた方がいじめ甲斐があるってこと?
だからいじめのターゲットは1人なのよ!

で、そのターゲットは・・・

恐るべし! K!
認めたくないけど、K、頭いいわよ!
そうして始まったKとのフライト。
お客様の搭乗が始まったわ。

私が声をかけると、お客さんがこう言った。

私は挨拶したわ。

すると、そのお客さんは後ろの仲間に向かってこう言ったわ。

後ろの友人たちも、それを知って喜んで下さったわ。
日本発のフライトじゃそうでもないんだけど、
数日間の海外旅行を終えた帰りのフライト、
日本人乗務員の姿を見ると、年配の方なんかは
とても喜んで下さったりするのね。
私の担当のお客さまは、
すぐに私の名前を覚えて下さり、
とてもフレンドリーに声をかけて下さった。

そうした中、機内アナウンスが流れ始めた。
日本語のアナウンスをするのは、先輩であるKの役目。
Kの声が機内に響いた。
皆さま、こんにちは~
本日も○○航空をご利用くださいまして、
誠にありがとうございます。
(略)
本日、このフライトには日本人乗務員の・・・
山口・・・K・・・
の2名が乗務いたしております。
私の名前は・・・?
その時、さっきのお客さまが私に尋ねた。

こーゆー場合は、
なんて答えたらいいのだろう?
新人の私に気転の利いた言葉なんて見つかるわけもなく・・・

しどろもどろしてしまった。
と、その時だ。
アナウンスを終えたKが、エコノミークラスにやってきた。
そして、私を見るなり、こう言ったのだった。

こう来たか・・・と私は思った。
なんたって、私は今日のいじめのターゲットだ。

Kはわざとらしく大袈裟に謝り、そして、こう言った。
いいんだ。Kはこーゆーやつだ・・・。
そう言って、ふっと視線を落とした私は、
あのお客さまが、私を見つめているのに気がついたのだ。
それは、とても気の毒そうな顔で・・・。

ねぇ、こういう経験ってないかしら?
怒られていたり、辛かったり、泣き出したい気持ちの時、
人の優しさに触れると、堪えていた気持ちが
一気に溢れそうになるってこと。
私は心の中で思った。
『お願い・・・
今の私をそんな目で見ないでください・・・』

だめだ、涙があふれ出してきたじゃないの!
私は急いで近くの化粧室に駆けこんだ。
そ、そうよ!
こんな時は父が教えてくれたおまじないよ!!
私は泣きながら、何度も何度も繰り返したわ。

そしたら・・・
自分でも驚くくらい気持ちが楽になって、
さっきまで滝のように流れていた涙がピタリと止まった。
そして、その時、自分の心に誓ったのよ。

あの日以来、私はKの前では泣かなくなった。
父が教えてくれたおまじないを胸に、
どんなことを言われようとも、
されようとも耐え抜いた。
でもね、やっぱり・・・
Kの存在にはいつだってビクビクしていたけど・・・。
おしんスッチー K先輩のいじめ物語は不定期につづく~
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昨日、次女が幼稚園のお泊り保育から帰ってきました。すごく楽しかったみたいです。でも、すごーく疲れたみたいで、昨日はお迎えに行った帰りの車の中で爆睡。起こしてもまったく起きません。でも、山登りして帰ってきた体はベタベタで、ほとんど意識がないまま、お風呂に入れました。目を閉じたまま、湯船に浮かべ(私がお姫様抱っこ)、髪の毛も眠ったままの赤ちゃん洗い。いや~重い、重い。年長にもなると、沐浴みたいにはいきませんね~。でも、体がすっきりしたのか、夕方4時半から今朝6時半まで寝てました。
今日は朝から♪キャンプだ ほい ジャンプだ ほい♪ エンドレス。あぁ・・・うるさ・・・いいえ、とても賑やかです。





コメント
コメント一覧 (3)
それにしても、カータンさんより下の世代だからでしょうか、K先輩本人はもちろんですが、それ以上にそんな人を放置していた上の人たちがどうなんだろうって毎度思ってしまいます。今回のエピソードなんて誰も気づかないわけないし…。パワハラという概念が出てきたのもそんなに前ではないので、そういう時代だったんでしょうか?先輩からのイジメはあるのが当たり前!みたいな(´・_・`)
今まで私もそういう経験色々あったわ~。
もうむしゃくしゃして思い出したくない人すらいますもの。記憶から抹殺したいぜ!