全米が泣いた!『シロが幸せだった日々(3)』
2010年最後の妄想『シロの幸せだった日々』も最終回。
『シロの幸せだった日々(2)』 のつづきです。
事務所に着いたかれんがドアを開けると、
想像はしていたことだったが、
事務所の電話は今朝のスポーツ新聞の記事のことで
鳴りっぱなし、マネージャーが忙しく対応に追われていた。
マネージャーの高野がかれんを見るなり言った。
するとかれんは手馴れた手つきでタバコに火をつけると言った。
清純派とは到底思えないような態度だ。
そして、タバコを乱暴に灰皿に押し付けると
そう言うと、まるで長年の恨みを晴らすかのように
こう言い放った。
その時、やっと高野は悟ったのだった。
かれんは悪びれた様子もなく言い放った。
だって私は・・・私はね!!
あなたにだって何も言わせないわ!
そう言うと、自らマスコミでごったがえす、外に出て行った。
そうして、いつもの清純派女優の顔で、
インタビューに答え始めたのだった。
その様子を家のテレビで見ていた私は・・・
すべてを悟ったわ。
次の撮影の日。
潤は自分に非がないことはわかっていても、
やはり相手は先輩だ。
今回の騒動に対して、かれんに丁寧に頭を下げた。
かれんはさも困ったように言った。
潤はただただ謝るしかなかった。
その時。番組プロデューサーが興奮して入ってきた。
それを聞いたかれんの喜んだ顔といったら・・・。
嬉しくてたまらないといったはしゃぎようだ。
プロデューサーとかれんの会話を聞きながら、
潤は『なんて皮肉な結果なんだよ』と心の中で
呟いていた・・・。
あるオフの日のことだった。
私は潤君の膝に頭をのせ、至福の時を過ごしていた。
潤君に耳掃除をしてもらうのが、私は何より好きだった。
ところが、私のそんな至福の時は、
携帯電話の音で終わりを告げることとなる。
あの女・・・かれんからだわ。
「だけど、あなたのマンションも、
もちろん、うちもマスコミにマークされていると思うの」
あの女のこと、また何かたくらんでいるに決まっている!
「潤君、ダメよ! 行かないで! あの女の罠だって!」
どんなに私が吠えようが、私の声は潤君には通じなかった。
あの女の思うようにはさせないわ!
私は潤君が開けたドアの隙間からさっと外に飛び出した。
その頃、かれんは・・・。
「まったくちょろいもんよ。
私を誰だと思って? 私は白鳥かれんよ・・・ふふふ・・・」
潤はしばらく必死にシロを探していたが、
時計の針はすでに1時を示していた。
待ち合わせの『ハローグッバイ』に到着すると、
すでにかれんは席について待っていた。
遅れてきた潤君を見つけると、
すぐに自分の真横に座るように促した。
その頃、私は・・・。
あっ! あったわ!! ここだわ!!
ウィンドー越しに中を見ると、や、やっぱりよ!!
潤君にしなだれかかるかれんの姿が。
その時だった。雑踏に紛れて、私の耳に届いた音。
音のする方に振り向いた私の目に映ったものは!!
木の陰から激しくシャッターを押すカメラマンの姿だった。
やっぱり、かれん、あなたが呼んだのね!
そうは、させないわ!!
私はカメラマンに飛び掛かり・・・
カメラマンの手からカメラを奪うと無我夢中で走り出した。
キキキーーーーーー!!
じゅ・・・潤君・・・。
喫茶店の外にはすごい人だかりができていた。
さっきから外を気にかける潤にマスターが言った。
その言葉を聞くと、潤は外に走り出した。
人垣を押しのけて、潤が見たものは・・・
う・・・嘘だろ?
なんでお前なんだよ!
なんでお前がここにいるんだよ!!
「あぁ・・・この声は・・・潤君ですか?」
潤君・・・目が霞んであなたの顔が見えません・・・。
でも、シロの目には今ハッキリと映りますよ・・・
あなたと過ごした幸せだった日々が・・・。
潤君・・・ありがとう・・・可愛がってくれてありがとう。
シロは幸せでした。
お別れですね・・・
じゅんく・・・ん さ・・・よ・・・う・・・な・・・
「ちょっとあれ、松潤じゃない?」
「怪我した犬抱えて・・・」
「あらホント! なんの撮影かしら?」
シロを抱きかかえ、肩を震わせる潤の周りには、
どんどん人だかりができていった。
それでも潤は人目を憚らず、
シロを抱きしめて、その場にうずくまっていた。
いつまでもいつまでも・・・。
シロが幸せだった日々(3)完
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すいません。ついつい妄想列車爆走させてしまいました。さすがイラスト51枚は長すぎましたね。4話にしようかと途中で思ったのですが、あんまり引っ張ってもね・・・なので長くなってしまい、携帯の方、疲れましたね、ごめんなさい。
さて、ご報告! エコポイントに負け、ギリギリ駆け込み、液晶テレビ買た我が家。それが昨日やっと届いたのですよ。キレイな画面でニノの『フリーター、家を買う』最終回を見ようと、張り切っていたのに、次女の寝かしつけに巻き込まれ、起きたら終わっていた・・・。(号泣!
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