初めての体験 セルフ給油
夫が寝たきりになって、今日で2週間が過ぎました。
夫が動けなくなり、困ったことがありました。
そうなんです。
結婚して以来、私は車のガソリンを入れたことがありません。
何もその行為がイヤというわけではなくて、
ただ単に、夫名義のガソリンスタンドオリジナル?クレジットカードで
払うので(前の月のポイントでガソリン代が安くなる)、
給油は、カード名義である夫の仕事とという理由で。
そんなことは私にもわかっています。
しかし・・・問題があるのです。
そうです。結婚して15年。
その間に、ほとんどのガソリンスタンドがセルフサービスになり・・・
私は、このセルフでの給油をしたことがないのです。
そうか・・・ガソリンスタンドのお兄さんに聞けばいいのね?
私は早速、支度を始めました。
そう夫に告げて、家を出ようとすると・・・
えっ? 当たり前じゃない!
えっ? その厚化粧は何だって?
だって~、
ガソリンスタンドのお兄さんって・・・
大抵アルバイトの若い男の子じゃない?
私が普段の格好で行ったとしたら・・・
きっとアルバイトの男の子はこう思うに決まってるわ!
邪険に扱われるのが目に見えているわ!
だからね・・・
そんな乙女心を、夫に説明したけど、
夫には冷たくあしらわれました。
ふん! 男のあなたにはわからないのよ!
オバチャンがどういう扱いを受けるかってこと!
私はそう言うと、ガソリンスタンドに車を走らせました。
ガソリンスタンドに入っていくところから緊張です。
だって・・・
私が自分でガソリンを入れていた時代は・・・
必ず店員さんがどこに停めたらいいのか
誘導してくれたものです。
そうして、車を停めると・・・
「窓をお拭きしてもよろしいですか?」
「空き缶、灰皿の灰はございませんか?」
何かと丁寧に聞いてくれた時代でした。
今、ガソリンスタンドに車を入れたものの・・・
誰も誘導してくれません・・・。
どこに停めたらいいのかさえわかりません。
緊張しながら、とりあえず空いている場所に車を停めました。
モタモタしていたらいけません。
モタモタ=オバチャンのレッテルを貼られてしまうからです!
テキパキと行動しなければ!
私はすぐに店員さんを探しました。
宝塚娘役のような声で店員さんを呼びました。
振り返ったその顔は!!
白い歯がキラリと光った、とても爽やかな青年でした。
彼はテニスコートの風を連れて、私の方へ走ってきました。
私は正直に言いました。
すると、青年は嫌な顔をひとつもせずに・・・
そうなんです。
15年給油せずに過ごしてきてしまった私は、
運転席にある給油口のスイッチさえ触らずに
降りてきてしまっていたのでした。
青年は、すぐに車の運転席のドアを開けに
行ってくれました。
なんと感じの良い青年でしょう!
そうして、給油口を開けてきてくれると、私に聞きました。
そうして、とても親切に説明してくれました。
「あとは、ここを押しながら、給油してください。
満タンになったら、自動に止まるので・・・。
そしたら、給油口のキャップをカチッと音が出るまで回し、
完了です!」
これだけ親切丁寧に説明されたら、
初めての私でも十分理解できました。
それにあんまり、てこずらせたら
オバチャンってこれだからイヤなんだ!と思われてしまうし!
私は、笑顔でお礼を言いました。
青年は再び白い歯をキラリとさせながら・・・
そう言うと、再びテニスコートの風を連れ、
他の仕事に戻って行きました。
今の日本、捨てたもんじゃないわ。
こんな良い青年がいるなんて・・・。
それにそうね・・・青年が言ったとおり簡単ね!
そう思っていたのも最初だけでした。
うん・・・か、カンタン・・・だわ・・・。
段々とつらくなってきました。
つらい・・・つらいわ・・・
でも・・・ここで弱音を吐いたら、
またオバチャンは!って思われてしまうわ!
頑張るしかないわ!
でも・・・
もう我慢の限界でした!
車をもう少し前に停めなければいかなかったのか?
ダメ・・・もう・・・痺れてきたわ・・・なんとかしてーーー!
私は叫びました。
私の悲鳴を聞き、
青年はテニスコートの風と共にやってきて・・・
そうして、白い歯をキラリ・・・
いえ、むき出しにして私を見ました。
ちょ・・・
ちょっと・・・助けてちょうだい!
手が! 手が痺れて・・・もう限界よ!
青年の背後からはすっかりテニスコートの風は姿を消し・・・
よどんだ風が流れていました。
そうして、青年は言ったのです。
『これだからオバチャンは面倒なんだよ!』
青年の心の声がよどんだ風に乗って、聞こえてきました・・・。
今、冷静になれば、わかります。
そう、静電気防止ボタン(パネル?)は
最初にタッチだけすればOKなんだってことくらい・・・。
でも、初セルフ給油で緊張MAXだった私は、
静電気防止のボタンから手を離したら最後、
引火して大変なことになってしまう!
と勝手に思い込んでいたのであります。
↑頭の中に描いていたイメージ図
だから、給油しながら、このボタンを離してはなるものか!
と必死に手を伸ばしていたのですよ。
そうです。オバチャンは・・・
思い込みが激しい生き物なのです・・・。
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では、今日も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
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