花男

心の穴を埋めに・・・人は旅に出るのさ・・・





今の私はすべて金曜日の10時を基準に動いている。


「金曜日まであと何日・・・」


といった感じに。

いよいよ待ってましたの金曜日ラブラブ


夜10時の花男開始に合わせて、夕食、入浴をすべて済ませて、


10時10分前からテレビの前に正座してスタンバる。

(何も正座しなくてもなんだけど)


そして、10時、私は牧野つくしになる。


牧野つくしになった私は、CMのたびに時間を気にしているUFO


シンデレラの魔法が12時で解けるみたいに・・・


私が牧野つくしでいられる時間は


あと何分よ?


そして、番組終了、


溜息とともに私は現実に戻るんだよねぇ・・・。


そして、数分後には私の携帯に主婦友たちからの感想メールが送られてくる。


「もーラブラブでいい! 私、ラブラブでいいから! やっぱり道明寺はあなたにあげるわ~」

(おいおい、おばさん! 類の気持ちはどーなんだよ。道明寺だって迷惑? だよガーン


「道明寺の家に(つくしが)居候してるじゃない? 私なら寝ぼけた振りして寝込みを襲うね、じれったい~」

(まったく・・・出産経験のあるおばさん、感情のおもむくままである)



先週はやはり「海」の文句と来週の最終回を悲しむ声ばかり。


私だけでない、私の周りの人間も皆金曜日が中心に回っている。



そんな中、私の主婦友のSちゃんは花男を見ていない!

信じられない!


でね、Sちゃんが見ていないのが悔やまれてならない点は、


彼女が恵比寿ガーデンプレイスを見下ろせるマンションの上階の住人であるということだ。



ある日、彼女の御主人が夜の10時ごろ帰って来て、言った。


「ガーデンプレイスで何かの撮影やってよ。花男かな?」


マンションの窓から見ると、煌々と撮影のライトが光っていた。


「私、花男みてないけど、野次馬根性ですぐに見に行ったのよ」


えーーーーーっ! いいなーーーーー!


「でもさ、私見てないから、誰がスタッフで誰が俳優なのか


全然見分けがつかなくってね」



もーーーーーッ!!DASH!


「何か若い男の子が4人いて・・・」


「F4じゃん!」


「えっ?U4?」


「UFO じゃなくて F4! FLOWER4でF4よ! 勘弁してよ~」

(↑作ってないです。これホント)



「ふぅん・・・  そうだ、赤いコート着た男の人が動き回っていたけど・・・」


「道明寺じゃん! 松潤よ!」


「えーーー! 松潤だったの? わかんなかった」



あーーーん! もーあなたってば、 


花より男子じゃなく、豚に真珠よ!ぶーぶー


彼女はなーんにも悪くなのに、


イライラして子供に勉強教える以上に


強い口調で怒鳴ってしまった。むかっ



さて、ついに今週の金曜日、私がこんなに夢中になっている花男が終わる。


これからは何を生甲斐に生きて行けばいいというのだ・・・。


そんな折、さっきSちゃんからメールが来た。


「花男やっぱりすごいみたいね。さっきガーデンプレイスの時計広場、


通ったらすごい人で、皆ポーズ取って記念写真撮ってたよ。


50代くらいののおばちゃんも、ここよ! ここ! って写真撮ってた。


花男知らない私は、あのおばちゃんよりおばちゃんか・・・と思っちゃったよ」



そうだ! そーだったのか?


かつて冬ソナがブームだったとき、番組終了後、


おばちゃんたちは皆「冬ソナツアー」に出かけて行った。


ロケ地を巡る旅に出たのだ・・・。



私はすぐにSちゃんにメールした。


「春休み、遊びに行きます。時計広場写真ツアー決行です。よろしく!」


小2の娘も連れて行こう! きっと喜ぶだろう。


(都合のいい時だけ、娘を利用する? 供の職業訓練所「キッザニア」には


もう随分前から「連れて行って」と頼まれているのに「混んでるから」と


先延ばしにしているというのに。


「ほら、あなたが来たかったんでしょ? 写真撮るの?


じゃママが撮ってあげるから、さぁそこに立って・・・


えっ? じゃママも記念に1枚撮ってみようかな・・・


ちゃんと撮れてなかったら困るから1枚念のためにもう1枚ね」



格言:心にあいた穴を埋めるべく、人はカメラ片手に旅に出るんのだ。

               (ドラマ好きのおばちゃんだけだろ?!)