KISS or 黒木?


美容院に行かなければ!


と思いながら数ヶ月・・・



乳飲み子を抱えて美容院に行くとなると夫の休みの週末になる。


週末は美容院は混んでいる。1日掛かりは覚悟せねば!


でも、



もう限界! 明日こそ美容院に行こう!メラメラ


と意を決し、目覚めた日曜日の朝。


鏡の前には主観的に見て「黒木瞳」ヘアーの私がいる。


「えっ? まだまだこのままでいけるんじゃん?」



ところが、平日の朝を迎えると待ってましたとばかりに

爆発した頭の私に戻るのである。



小学生の娘の授業参観を明日に迎えたある日、


5羽の鳥ヒヨコに寝床を提供できるような頭をした私がいた。


こんな髪で学校に行ってみろ、聞こえてくる母たちの囁きが・・・。


「やっぱり育児に明け暮れてると、あの人(私のこと)のように


生活臭ぷんぷん漂うのよね」


「ホント、高齢出産ってのもこたえてるのかもね・・・ふふふ」



冗談じゃない! なんとかせねば!あせる



しかし、もはや美容院に行っている時間はない。



ならば!


私ははさみ(それも髪ではなく紙を切る普通の)を手に


自らの髪を切り始めた。


えっ? なかないいじゃん。私ってセンスあり? 


江原さんにみてもらったら


前世はカリスマ美容師なんて言われちゃう?」


30分後、鏡の前には黒木瞳(もちろん主観的に見て)が

映っていた。


いいじゃん、いいじゃん。



さて、翌日、授業参観当日の朝、


鏡の前には黒木・・・



えっ?汗汗



私が鏡の前で見たものは


「あんたはKISS? ベイシティーローラーズ?(年齢がばれる)

ここはハワイのパイナップル畑か?」


そんなものが映っていた・・・。


オーノー!!



水、整髪料、ワックス、ドライヤー、アイロンetc・・・

アーティスト、果物から普通の母親になるべく格闘した。


乳飲み子は、パンパンのおむつつけたまま、ほったらかしだ。


2時間の大乱闘の末、どーにか黒木瞳もどきのヘアースタイルになった。

(これももちろん主観的)


そして、学校に着くと親しいお母さんが


「あら? その髪型・・・」


背中を1リットルの汗が滝のように流れ落ちた。


「すっきりして良い感じじゃない?」


えっ? 嫌味としてとるべきなのか?



さて、その日はなんとかやり過ごしたものの


毎朝鏡の前には


「お前はユニクロ着たスッピンのKISSか?」


が映っている。


そして、その日を無事やり過ごすために私は1時間以上かけ、

大量のヘアースプレー振りまきこの髪型と格闘している。

もちろん、泣きか叫ぶ、乳飲み子はほっぽって・・・。



美容院に行きたい!



しかし、未だ美容院に行けない週末を過ごしている。


こんな髪型になってしまった今、どんな言い訳もって美容院に

行けばいいというのだ?


中学生なら


「クラスメイトに切られてしまって・・・」


とでも言えば、このむごい髪型=いじめられているのか?


とそれ以上、美容師さんも突っ込んではこないだろう。



おばちゃんなら


「お金が勿体無いから自分で切っちゃったんだけどね、ガハハ」


でやり過ごせるだろう。


しかし、私は微妙な年の女である。


まさか自分で切ったなんて・・・女が邪魔して言う勇気がないのである。



こうして私はまた明日も朝、鏡の前でKISSと対面するのである。


あぁ・・・。