高齢な親の問題を抱えている私が
知っておきたいという思いから
観に行った映画。


「ぼけますから、よろしくお願いします。」

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ドキュメンタリー制作に携わる
テレビディレクターの信友直子さんが実のご両親を撮り続けたドキュメンタリー作品だ。


チラシの裏のあらすじを記すと

母、87歳、認知症。
父、95歳、初めての家事。

広島県呉市。その街で生まれ育った「私」(監督・信友直子)は、ドキュメンタリー制作に携わるテレビディレクター。18歳で大学進学のために上京して以来、40年間近く東京暮らしを続けている。結婚もせず仕事に没頭するひとり娘を、両親は遠くから見守っている。

そんな「私」に45歳の時、乳がんが見つかる。めそめそしてばかりの娘を、ユーモアたっぷりの愛情で支える母。母の助けで人生最大の危機を乗り越えた「私」は、父と母の記録を撮り始める。だが、ファインダーを通し、「私」は少しずつ母の変化に気づき始めた・・・

病気に直面して苦悩する母。95歳で初めてリンゴの皮をむく父。仕事を捨て実家に帰る決心がつかず揺れる「私」に父が言う。「(介護は)わしがやる。あんたはあんたの仕事をせい」。そして、「私」は、両親の記録を撮ることが自分の使命だと思い始めー


ポレポレ東中野という
客席90席ほどの小さな映画館。

観客は若い人も中にはいたが、
私と同世代の人が圧倒的に多かった。

1

映画は監督のナレーションで始まる。
ドキュメンタリー映画なので
派手な演出などない。
淡々と日常が映し出されていくのだが
客席で早くも鼻をすする音が聞こえて来る。

スクリーンに映る高齢な夫婦の姿に
自分の親を重ね合わせるからなのか?

認知症が進むお母さんは時より

2

カメラを向ける娘の直子さんに尋ねる。

そんな姿が私の母と重なる。

3

洗濯物が洗濯機の中で溜まっている。
娘の直子さんがやるよと言っても
自分でやると言い、拒絶するお母さん。
同じだ・・・。

4

デイサービスに行くことを拒否し、

5

そう言って泣くお母さんを見ながら

6

みんなに迷惑がかかるから
死にたいと訴えるお母さんとお父さんの夫婦喧嘩・・・。

どれを見ても自分の親と重なって涙が溢れた。

劇中には、10年前
直子さんが乳がんになった時に
上京して直子さんを支える
元気なお母さんも姿も映し出される。

7

母親として、娘を勇気付ける、
心強く頼れるお母さんだ。

ある意味、私にはこのシーンが一番堪えた。

そうだ、私だって・・・

8

小さい頃、いや、大人になっても、
母は私の日常をいつだって
叱咤激励し支えてくれた。

9


10

初めての育児で疲労困憊している私に

11

まだ子供が小さい時、仕事で家を留守にする時

12

子供(母にとっては孫)の面倒を
どれだけ見てくれたただろう・・・

3年間までこんなメールのやりとり
母と頻繁にしてたのに・・・

映画のエンドロールには
若かりし頃のご両親と直子さんの写真が
まるでアルバムをめくるように映し出される。

涙が止まらない・・・
私の頭の中にも同じように
母との思い出が1枚1枚浮かんでくるのだった。

13

映画館を出たら、無性に母に会いたくなった。



『ぼけますから、よろしくお願いします。』
ポレポレ東中野を皮切りに
今後広島をはじめ地方各地で上映していくようです。

泣けて、愛おしくて微笑ましくて、
心が温まるドキュメンタリーでしたよ。

【お知らせ】
11月12日(月)
草野満代さんのラジオに出させてもらいます。
ニッポン放送 夕暮れWONDER4
よかったら聴いてください





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親の認知症のドキュメンタリー、ヘビーでこれからどうしようと考えさせられるかと思ったら、笑いあり、涙あり。観た後に私は母が愛おしく、とても可愛らしく思えたのだ。直子さんのお母さんがとてもチャーミングな方だったのもある。そして、直子さんのお母さんを通して、母の辛さも理解できた。母はコントロールできない自分に自己嫌悪になり、落ち込んでいるんだと。高齢な親と子供、そして、子を思う高齢な両親、支え合う夫婦の姿にもいろいろと思うことがあった。