からのつづき

嘉義行きのツアーの運転手さんが
私たちに近づくと、
スマホを差し出した。

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スマホから聞こえてくる日本語の音声。


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以後、私たちは彼を
「ドラム」と呼ぶことにした。


ドラムは言った。


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ドラムの車には、
私たちの他に台湾のご夫婦が1組。

計5人で奮起湖へ向かった。


奮起湖は、
阿里山鉄道の中継地点にある町。

九份のような昔ながらの街並みと
「奮起湖弁当」で有名な場所だ。


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ずいぶん前のことになるが

長女の幼稚園時代のママ友・Tさんと
話していたとき。

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Tさんとの約束を果たすためにも
奮起湖で私は
お弁当箱を手に入れなければ!


奮起湖に近づいてくると
斜面いっぱいに茶畑が広がってきた。


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阿里山の高山茶は、
甘みがあって本当に美味しい。

霧や雲に包まれる高地の気候と
昼夜の寒暖差が、
美味しいお茶を育てるそうだ。


そして、奮起湖に到着。

ドラムが言った。


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1時間あれば、
お弁当箱も買えるだろう!

目指せ、奮起湖大飯店!


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こちらのお弁当が有名。

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昔は、
食堂で食べた後のお弁当箱を
そのまま持ち帰れたらしいが、
今は返却しないといけない。


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その代わり、
空のお弁当箱が売られている。


素材によって値段が違い、
ステンレスなら約2000円、
チタンだと約8000円!


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念のため、Tさんに確認。


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よし、買ったわ!
Tさん、待ってて!

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これでミッション終了!


ここからは奮起湖観光。

老街へ。


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九份っぽい雰囲気で
歩いているだけでも楽しい。


しばらく歩くと、
どこからか甘〜いいい香り。

その先には長い行列ができていた。


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列の先を見に行くと――


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お菓子を焼いていた。
いい匂い!
そのまま並ぶことにした。


ところが、
焼き上がる数より
買われていく数の方が多いようで、
列がなかなか進まない。


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そして、ようやく我々の番。
3つ買った。


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甘さ控えめで
とても美味しかった。

もー!
もっと買えばよかったわ!


時間が少し余ったので
ドラムが教えてくれた

鉄道博物館にも行った。


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かつて阿里山鉄道で使われていた
機関車などが展示されている。


そして、ドラムの車へ戻ると、
さっきまで一緒だった
台湾のご夫婦がいない。


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なるほど。


ここからは
夫と私、ドラムの3人旅。

途中、
牛埔仔草原に立ち寄った。

勝手に牛のいる牧場かと思ったら、
アートなオブジェが並ぶ公園だった。


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映えスポットに
あまり興味のないシニア夫婦。

自由時間を大幅に持て余し、
早々に車へ戻った。


するとドラム、
次こそは!と思ったのか、


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そのとき私、
どうしても気になっていたことを
ドラムのスマホに向かって聞いてみた。


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嘉義まで来たなら見てみたかったのだ。

もし高鉄の駅から近ければ、
解散後にちょっと寄れないかと
思っていた。


すると――


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えーーーー!
なんて優しいの、ドラム!


そして本当に、
KANOの銅像があるロータリーを
ゆっくり1周してくれた。


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なんと!

見られただけでも嬉しいのに、
戻ってきたばかりだったなんて!
2度嬉しい!


そして、檜意森活村へ。


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日本統治時代の木造宿舎(約30棟)を
リノベーションした観光スポットだ。


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日本家屋がずらりと並ぶ中、
台湾の修学旅行生らしき学生たちも
たくさん訪れていた。


そして台鉄の嘉義駅で
台湾のご夫婦と再び合流。
一路、高鉄嘉義駅へ。


予約していた時間より
少し早く到着できたので、
窓口で早い列車に
変更してもらうことにした。


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シニア夫婦、
早く帰れるなら
どこでもいいさ!


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台北へ向かう高鉄の窓から見えた
夕日がキレイだった。


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あの太陽は、
今朝、阿里山で
私たちが見た太陽なんだ――。

そう思うと、
なんだか不思議な気持ちになった。


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だって今日1日、
あまりにもたくさんのことがあって、

ご来光を見たのが
もう遠い思い出のように
感じたから。


台北駅に着くと、
急いで向かったのは
駅からすぐの
正豪季水餃専売店。

エビ餃子の人気店だ。


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お目当てはもちろん、
エビ餃子。


メニューは少ない。

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ところが、閉店1時間前だったため
麺は品切れ!

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いいわ、もともと
エビ餃子を食べに来たんだから!

2人で散々迷った末、
エビ水餃子20個を2皿と酸辣湯を頼んだ。


その間にタレを作りに行く。

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すぐにエビ餃子が運ばれてきた。

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エビがプリプリ!

美味しいーーー!

しかし、20個は…
我ながらよく食べたと思う。

でも、こんなに食べて、
日本円で2000円ちょい。

久々に台湾で安いと感じた。


長い1日だった……。

朝3時に起きて、
阿里山でご来光を見て、
水山巨木を見て、
奮起湖に寄って、
KANOの銅像を見て、
嘉義から台北へ。


そして最後は
エビ餃子1人20個!

20時、ホテルに戻ると
夫はすぐにソファにゴロリ。

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疲れたときに向かうと行ったら…
ここしかないでしょ?


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足だけのつもりだったけど……

4日分の疲れを取るため
全身90分コースに変更したわ。

この日の歩数:18,443歩。


   

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長い1日だった。 朝、阿里山でご来光を見たことが、ずっと前のことのように感じるくらい。 この日もよく歩き、よく食べ、最後はマッサージで体をほぐして。 もうクタクタ。早くベッドに入りたい。 ーのはずなのに、明日はもう日本に帰ると思うと、寝てしまうのがもったいない。 旅の最後の夜って、いつもそんな気持ちになる。